TCER フェロー、支援者および関係者の皆さま方には、日頃より TCER の活動にご支援とご協力をいただきまして、心よりお礼申し上げます。2022年 6 月に TCER 代表理事に就任し、業務総括理事・業務執行理事の小倉義明と会計・研究会担当業務執行理事の小枝淳子を中心として理事らとともに、経済学研究の発展とその成果の社会への発信のために TCER の活動を推進しております。  2023年度前半の活動の特筆すべきこととして、金融業をテーマに実施したTCERコンファレンス事業が完了し、その成果が「日本の金融システムーポスト世界金融危機の新しい挑戦とリスク」(祝迫得夫編)として東京大学出版会より出版されました。また、これまで同様に様々なコンファレンスやセミナーに対して支援を行い、国内外の研究者の成果発表とネットワーク構築に貢献しております。例えば、ミクロ経済学の国内主要学会の1つである第29回Decentralization (DC) Conferenceを共催しています。また、Econometric Societyなどの主催した若手研究者育成のサマースクール2023 Asian School in Economic Theoryを共催しました。これには海外からの講師6名と国内外の若手研究者36名が参加しており、未来の経済学を担う若手研究者の育成と交流に貢献しております。  近年、米中対立の深刻化に伴う産業政策の強化、デフレからインフレへの移行、エビデンス重視のビジネス戦略や政策の立案など、様々な経済的課題に対する対応が転換期を迎えています。そのような中で、TCERは引き続き経済学研究に対する支援とその成果の社会発信を行っていきたいと考えております。  とは言え、経済社会のあり方が変化する中で、支援者の皆さまの期待に十分に応えられていないのではないかという反省もしており、TCERのあり方も変化していくべきであることを実感しております。そのため、2021年度より改革委員会を発足して議論を続けており、フロンティア研究事業などのいくつかの新しい試みも行ってまいりました。今後も、理事会および改革委員会で議論を深め、フェロー、支援者および関係者の皆さま方のご期待に沿えるようTCERの改革を進めていく所存です。引き続き何とぞご指導ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

戸堂康之(代表理事・早稲田大学)